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美しい日本語〜「恩送り」〜はご存知ですか?

「恩送り」について解説

恩送り(おんおくり)とは、誰かから受けた恩を、直接その人に返すのではなく、別の人に送ること。
Wikipediaから引用

「恩」とは?

恩(おん)とは、他の人から与えられた恵み、いつくしみのこと(出典:大辞林)。
Wikipediaより引用
この言葉は普段より使うこともあるかと思いますが、恩人や恩師と言う言葉もあるように自分に何かを与えてくれた人、
恩は、すでに後漢時代の許慎の『説文解字』において、「恵(めぐみ)」という意味だと解説されていたそうです。
要するに自分自身に「恵」を与えてくれた人=自分自身に「恩」を与えてくれた人という意味になります。
日本でも『日本書紀』や『古語拾遺』などでも「恩」は「めぐみ」「みうつくしみ」「みいつくしみ」などの読み方がされていました。
さらに深く掘り下げてみると、「恵」の語源は「芽ぐむ」だともされています。
菜の花が芽ぐむ際に春の陽気によって成長を助け、恩を施すことから「芽ぐみ」であり、
「芽ぐみ」→「恵」→「恩」という言葉に変わっていったようです。

馴染みの深い「恩」

鶴の恩返し

誰もがご存知、鶴の恩返しは有名な話ですよね。
主人公が罠にかかっている鶴を見つけ、助けてやると後日鶴が主人公に恩返しをしに来るという話ですが、すごくわかりやすい「恩返し」の例です。

歴史での「恩」

御恩と奉公

小学生の時に歴史で勉強する、「御恩と奉公」。
鎌倉幕府時代の主従関係を表した言葉ですね。
幕府は御家人に対して「御恩」によって既存の領土の保証と新たな土地を与える代わりに、御家人は幕府に対して戦の時に兵士として参加したり、現代でいう警察のような役割を担う「奉公」を行っていました。
(テストに出るので覚えておきましょう!!)

恩送りは日本だけ?

恩送りをgoogle翻訳で英語に訳してみると
「Pay It Forward」

逆にPay It forwordを日本語にしてみると、、

少しちぐはぐですが、もう少し調べてみるとアメリカには
「Pay It forword」という名前の映画があるようです。
大まかなストーリーとしては、恩を誰かから受けた時にその恩を返すのではなく違う誰かに送ることを実践した主人公の少年の物語です。

そのような善意のバトンをアメリカでは、「Pay It Forword」と訳すそうです。
日本の「恩送り」、正の連鎖によってたくさんの人が幸せになるという意味ではとても似ていますね。

アメリカではこの映画のようなことが実際に起こったそうです。
場所は、とあるコーヒーショップ。
ある日このコーヒショップに並んでいたマッケンジー・モーラーさんが後ろに並んでいた
見知らぬ女性のコーヒー代を支払う「恩送り」を行ったところ、その女性からマッケンジーさんに感謝の手紙が届いたそうです。

その手紙をみたモーラーさんはこんなコメントを残しています。
Yesterday I bought coffee for the lady behind me at Starbucks.. later in the day I found this is my mailbox. Small acts can make a big difference folks, spread some kindness

少しちぐはぐな内容にはなっていますが、一人の小さな行動によって人々に大きな違いをもたらし、正の連鎖を広げることができるということが伝わってきます。

日本での恩送り

身近な場面で言うと、会社の偉い人や先輩が一緒にご飯を食べに行ったり、お酒を飲みにいくと若者の分を払ってくれたりと言うことがありますね。

日本では、海外から見て落とし物が見つかる確率が高いそうです。
落としたスマートフォンが見つかる確率がニューヨークでは6%だったのに対し、日本では88%、
落とした財布で見るとニューヨークでは10%だったのに対し、日本では80%だったそうです。

これも一つの「恩送り」なのではないでしょうか。
自分が何かを落とした時に、無事に戻ってくる可能性が高いのは自分が落とし物を拾った時に交番に届けるから、
と言うことができます。

「恩送り」は日本人の国民性なのか?

こんな研究結果があります。

つぎのうち、日本人の性質をあらわしていると思うコトバがあったら、いくつでもあげてください?
1.合理的
2.勤 勉
3.自由を尊ぶ
4.淡 白
5.ねばり強い
6.親 切
7.独創性にとむ
8.礼儀正しい
9.明 朗
10.理想を求める
11.その他

この中で選ばれた上位3つは、
2.勤 勉
5.ねばり強い
8.礼儀正しい
となりました。

https://www.ism.ac.jp/kokuminsei/table/data/html/ss9/9_1/9_1_all.htmより引用

上のデータから見ると、財布を拾うのは
8.礼儀正しい
の項目に当てはまる気がしますね。
日本で落とし物が見つかる可能性が高いのはここから来ているのかもしれません。

日本では小さい頃から学校などで、
「落とし物を拾ったら交番に届けましょう」というようなことを言われたり、
学校にも落とし物コーナーがあったりと落とし物を届ける文化が根付いているのかもしれません。

ただ、これは落とし物が持ち主のものに届くのかと言う視点からしか見ていないので、
「恩送り」は日本人の国民性であると断言するにはデータが少ないです。
(大きいデータについては今回は触れませんが、いつか書きたいと思います。)

世界にも同じような考え方はあるので、日本人の国民性ではなく全世界共通の人間性と言えるかもしれません。
(ここは筆者の主観です。)

そんな「恩送り」は、このWEBメディア「オンクリ」の「オンクリ」は「恩送り」という意味を持っています。
上の世代からもらった恩を若い世代にバトンとして渡していく、そんなWEBメディアを目指しています。
オンクリのインタビュー記事には、職業、年齢、性別に条件を設けていません。
この記事を読んで、もし若い世代に「恩送り」をしたい!
私にインタビューしても良いよという方がいましたら、是非オンクリ事務局までご連絡ください。
全国どこでもオンラインでの取材を受け付けています。

〜おまけ〜
筆者自身もこんな「恩送り」がとても印象に残っています。
ある日、スーパーでお弁当を買おうとレジに並んでいると、私の前にはたくさんの商品をカゴに入れた50~60代くらいの女性が並んでいました。
その女性は私が持っているお弁当に気付くと、
「私のお会計は長くなるからあなたが先にお会計をしなさい」
と声をかけてくれました。
その行動は、私のレジを待っている時間を少し早めてくれただけに過ぎませんが、
私の一日をとても良いものにしてくれましたし、私のお会計が長くなりそうなときは、周りの様子を伺ってみようという視点を与えてくれました。
この出来事によって実感したように人の一日は、小さな親切でとても明るくすることができます。私自身も「恩送り」を心がけたいものです。

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