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「30歳までは方向を決める期間でいい」〜木村辰巳〜

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今回インタビューしたのは、
自然豊かな長野県佐久市印内と、大都会東京の2拠点で奥さんと2人生活を送る木村辰巳さん。

木村さんの生い立ち

生まれた場所はどこですか?

埼玉県児玉郡神川町というところで梨の本場です。
親世代はは梨屋かサラリーマンかという感じで、私の家は梨は作っていませんでしたが、農家でした。

子供の頃の思い出はありますか?

よく川で遊んでいました。
神流川という利根川の一部の川です。
罠を作って、そこに捕まえたミミズを餌として置いておくんです。次の日になって確認しにいくとうなぎなんかがかかっていました。
他にもあゆやナマズがとれるんですよ。とにかく楽しかったですね。

家では、私は4人兄弟の末っ子でした。
なので、ご飯の時なんかは必死でしたね。少しでももたついていると兄弟がみんな食べてしまうんです。
親に怒られてめそめそしていて泣き終わるとご飯がもうないなんて事もありました。

〜中学校時代〜

中学校時代は学校がはじまって以来の悪ガキとレッテルを貼られていました。
学校が終わると仲間を引き連れて毎日遊んでいました(笑)。

当時、私は中学校までしかいく事ができませんでした。
高校にいくのは100人いたら90人は女子生徒で、男子で高校に行けるのは相当な大臣子ででしたね。
それ以外はみんな集団就職をする時代でした。

〜集団就職〜

中学を卒業してすぐに親元を離れるのはすごく寂しかったです。
集団就職をするときは親からボストンバッグ、せんべい布団2枚、3000円を持たされて見送られました。
(当時の初任給は3000円~4000円くらいだったので、大体一月分くらいですね。)

最初は自動車の修理屋さんで働きました。
でもとにかく私には難しくて、職人の道具運びをしていました。
先輩職人が修理をしている横で、次に使う工具を手元に素早く渡さなければいけないんです。
最近よく見る医療ドラマみたいな感じでした。
そんな仕事をして自動車の修理屋には3年くらいいました。

次の仕事は製鉄所の中でクレーン車を使って色々な物を動かす仕事をしていました。
ここでは全てやる事が決められているわけではなく、自分で考えて仕事をする必要がありました。
私からすると責任感も生まれて、この頃の仕事は楽しかったです。

若い頃、夢はありましたか?

小学校と中学校の頃は野球の選手になりたかったですね。
私はキャッチャーだったのですが、いつも2塁への走塁を阻止していました。
肩がよかったのでね。とにかく目立ちたがりで、かっこいい事をしたかったんです。

就職してからはマラソン選手に変わりました。
その当時ボストンマラソンで優勝した山田敬三という選手がいてね。
その選手に憧れていました。

2拠点での暮らしについて

長野・東京の2拠点での暮らしを始めた理由はなんですか?

バスの運転手をして働いていた頃によく長野県に来ていました。
そうしたらいいところだなと思ってね。
ここに住みたいと思って、土地を買って、家を建てました。


この景色を見て、この土地を購入する事を決めたという木村さん。

長野・東京の2拠点での暮らしのメリットを教えてください

緑が芽吹くのを見る事ができて、空気も綺麗だし本当に幸せな気持ちになる事ができます。

長野・東京の2拠点での暮らしのデメリットを教えてください

冬の間に少し寒すぎる事ですかね。

木村さんへの質問コーナー

趣味はありますか?

今はスマホやタブレットなんかを使う事です。
離れている人と顔を見ながら電話ができたり、メッセージを送る事ができたりと。
とても感動しましたね。
今の時代はこんな事ができるんですね。
これはとても生きがいに感じます。

昔は柔道や居合などもやっていました。
体を鍛えていたので、ベンチプレスも120kgくらい持ち上げていました。
あとはゴルフも好きでしたね。いい道具も揃えていました。

人生で一番よかった出来事はなんですか?

妻と出会った事。これのおかげで私の人生はとても良いものになりました。

人生が変わった出来事はありますか?

これも妻と出会って結婚した事。妻がいなかったら今の僕はいません。
私らが結婚した当時は、女房を働かせる男はろくでもないと言われていて、
女性は家にいる事が当たり前の時代でした。
そんな中、私の妻は仕事をやめず働き続けてくれたんです。

あなた一人に任せるようにはしない。私も働くと言ってね。

奥さんはどんな女性でしたか?

頭から足の先までとにかく清潔感のある女性でした。

奥さんの事で何か印象に残っているエピソードはありますか?

2つあります。
1つは長野に土地を買って家を建てる時です。
私は寝泊まりができるプレハブでいいと思っていたんです。
しかし妻が、
「お父さん!せっかく作るならちゃんとした家を建てなきゃ」
と言ってくれたんです。それで今住んでいる家を建てる事になりました。

2つめはベンツのS600を買った時。
もともとは、トヨタのセルシオを買うつもりで契約書にハンコを押す寸前まで話が進んでいました。
たまたまベンツのディーラーで車を見る機会があって、そこでベンツをを見ていたらベンツが欲しくなってしまったんですね。それからトヨタの営業マンには申し訳ないけど、ベンツが欲しいしどうしようと思っていたんです。
そのときも妻が私の背中を押してくれて、結局ベンツのS600に乗る事にしました。

妻はいつも決断をするときに私の背中を押してくれるんです。

人生の中で後悔している事はありますか?

たくさんありますよ(笑)。
そりゃ人生ですからね。

そんなのがないと人生とは呼べません。
でもちょっとここでは言えないような事なので勘弁してください(笑)。
ただ、若い人に伝えたいのは
「後悔するのは悪い事じゃない」という事。
後悔があって反省するから人は成長できるし、自分を戒める事ができます。

だから振り返って、次に活かす事がとても重要です。

木村さんにとって「幸せ」とはなんですか?

「健康」ですね。
だからと言って、病気を持っている人も悪い事ばかりではありません。
病気を持っていると体に気をつけるし、自分の体を大事にする事ができます。
あとは、病気を持っている人の気持ちがわかるようになる。
体が元気だと、あまりそういった事に気付きませんからね。

幸せだと思う瞬間はどんなときですか?

お茶を飲んでいるとき、畑にいるとき、朝起きたとき。
毎日ふとした瞬間に感じます。

働いていた頃はなんのために仕事をしていましたか?

妻のため。子供のため。会社のため。
家族がいたので守らなければいけないものがあったし、
私にお金を払ってくれる会社にはできるだけのものを返そうと思いました。

今、目標はありますか?

西川の高級布団を買う事!
100万円を超えるやつなんですよ(笑)。
宙に浮いているような寝心地でね。
16歳で家を出た時は、せんべい布団2枚から始まったので
この布団で寝る事ができたら本当に幸せです。

若い人に向けて伝えたい事

結婚について

結婚する相手を選ぶときに一番大事なのは、器量です。
自分のいう事を聞いてくれる事でもなくて、優しい事でもない。

お金について

まずはお金について勉強して理解する。お金は命の次に大事なものです。
でもねお金があれば幸せってわけでもないんですよ。
お金がなくたって、思いやる心があればいいんです。
幸せであれば自然と金は入ってくる気がします。
お金が先じゃなくて幸せが先。

あとは人を判断するときにお金を基準にしてはいけません。
お金で作られた関係は、短いし絶対にうまくいきません。

仕事について

若い人に言いたいのは
「30歳までは色々な仕事をやってみて、方向を決める期間でいい。」
という事ですね。よく石の上にも3年なんてことわざがあるけども、そんな事ありません。
合わなかったらやめればいいんです。
どんな仕事が自分に合うかなんてやってみなければ分かりません。
仕事が合わないのに不満を抱えながら、だらだら働くではなく仕事を変えていいんです。
色々な経験ができますしね。
ただ30歳を過ぎたら自分が決めた方向に突き抜ける。それが必ず財産になります。
あと気をつけなくてはいけないのは、必ず辞める時は次の仕事を決めておく事。
この世に無料のものは一つもない。会社を辞めても生きていかなければいけないので、
お金は途切れないようにする事が大事です。

人間関係について

人間が生きていく上で人間関係はどこにでもあります。
私もうまく輪に入っていけなくてつまはじきにされた事もありました。
だけどそれに文句を言っても何も変わらないんです。
だから、自分の何がいけないのか、何をしたらいいのかを考える。
それが大事なんじゃないかと思います。

理不尽な事が起きているのであれば、然るべきところに相談しましょう。

これからの時代を生きてゆく若者に伝えたい事はありますか?

2つあります。
1つ目は

焦ってはいけない

みなさんはまだ若いし、人生の先は長い。
自分で目標を決めてその目標をさらに細分化して努力する。
自分にできる事から始めればいいんです。
どんな困難があっても負けずに立ち上がってください。

2つ目は

コミュニケーション能力を高める事

私がいままで生きてきて感じるのは「人」がとても大事だという事です。
人が困っているときに助けてくれるのもまた「人」なんです。
だからどんな人にも平等に接して、困っている人を見たら助ける。
世の中には色々な人がいます。
自分に合う人もいるし、合わない人もいる。
だけども人にレッテルを貼り付けるのはやめたほうがいいです。
自分に合わない人でも必ずいいところがあるし、その人から学べる事もたくさんある。
それを見つける能力を養う事で、自分が困っているときに必ず周りが助けてくれます。

ーー最後にこの記事の読者に向けて送る言葉を教えてください。

思いやりの「心」ですね。人の心も自分の心も大事にする。
どんな人の話も素直な「心」で受け入れてください。

がんばれ!

取材/土屋喬椰