1. HOME
  2. AGE
  3. 30代
  4. 「社会に出る前に自分の操縦方法を知って欲しい。」と話す「おかさく」こと岡田薫さん

「社会に出る前に自分の操縦方法を知って欲しい。」と話す「おかさく」こと岡田薫さん

30代, AGE, LIFE

長野県佐久市でローカルメディア「おかさく」として活動している岡田薫さん(以下おかさくさん)。
おかさくさんは大学卒業後、食品会社のSE(システムエンジニア)として10年間勤務。
その後は、1年間旅に出て地域の魅力に触れ、現在はYoutubeの動画や、記事・文章を使って長野県佐久市で発信したい事がある人の支援をしながら、東京&長野県佐久市での2拠点生活を送っている。

そんなおかさくさんが行きついた理想の暮らし「ATK」とは?
そして、おかさくさん自身の経験から今若者に伝えたい事とは?

大手食品会社のSEをしていた20代

ーーなぜ食品会社を選ばれたのですか?

大学の時に、就職が近づいてくる中で私がいたコースの同期は食品関係の会社への就職が多かった事と、その会社の社訓に共感できた事が大きな理由でした。

ーー具体的にはどんな仕事をされていたんですか?

勤めていた食品会社の工場で使う生産管理システムや、現場での製造ミスを防止するようなシステムの要件定義を行うSE(システムエンジニア)の仕事をしていました。

ーーもともとエンジニアを目指されていたんですか?

大学では化学系の勉強をしていたので、エンジニアの知識があるわけでもなく、目指してもいませんでした。
実は前職の会社に入社した時の希望職は営業だったのですが、実際に配属された部署の仕事がSEだったんですね。

ーー振り返ってみるとどんな会社員時代でしたか?

海外で仕事をするために頑張っていた会社員時代でした。
私がいた会社は海外に支社を持っていたので、会社員になってしばらくは、
「海外で仕事をして新しい事を学びたい!。」
と思ってそれをモチベーションに働いていました。
でも私は英語はすごく苦手で(笑)。。
それでも海外には行きたかったので、3年目くらいから本格的に英語の勉強を始めて6~7年目になった頃には少しずつ海外の仕事に関わらせて貰えるようになって、8年目で海外の仕事を任せて貰えるようになりました。
アメリカ、フランス、タイ、マレーシアなど様々な国に行きましたね。

ーー海外に行って何か変わった事はありましたか?

もちろん文化や食べ物などに違いはありましたが、私が行った国は世界の中で発展している国だったので、基本的には日本と同じ事が多かったような気がします。
でもフランスで仕事をした時に、一緒に仕事をしている同僚が昼からワインを飲んでいるのにはとても驚きました。

ーー前職を退職したきっかけはなんだったのでしょうか?

会社員時代10年目までは、同僚との人間関係や仕事に不満はなく私自身が仕事好きなのもあって土日も常に働いているような状況で、会社を辞めようとは一切思っていませんでした。しかし、10年目に海外の仕事から国内へ転勤する事になったタイミングで自分の中での海外で働くというモチベーションが無くなってしまったんですね。
この時に、
「自分がやる事を選べない環境は向いていないな。」
と感じ、組織に属するのをやめる事を決意しました。

退職後は全国を旅する

ーーなぜ全国を旅したのですか?

会社員時代は仕事に夢中で、自分のやりたい事を具体的には理解していなかったので、退職後1年間は全国を旅して自分のやりたい事探しのために旅に出ました。元々私は、「地域」には興味があって必ずこれから活性化するだろうなと予想をしていたので、旅の中では、地域で活躍している人達の働き方、考え方を実際に近くで学ぶためにボランティアで仕事を手伝ったりしました。
例えばゲストハウスを作る仕事や、飲食店のオープンの準備、それから写真の個展なども手伝いましたね。
そこで気づいた事は、会社員時代はシステムの仕事を突き詰めていればよかったけれど、地域を活性化させるには幅広いスキルが必要という事でした。

ーー旅の中でやりたい事は見つかりましたか?

自分の生きる目的は「幸せになる事」なんだと気づきました。

ーー1年間の旅の後は何をされていたのでしょうか?

旅が終わってからは、自分で幅広いスキルを身につけると時間がかかるので、自分でお金を稼いでスキルを持った人達に仕事を依頼すればいいんだと考え、2018年1月に個人事業主として独立して、ネットでの物販を行っていました。

東京と長野県佐久市の2拠点生活を始める

2020年の6月に東京と長野県の佐久市で2拠点生活を始めたというおかさくさん。

ーー2拠点生活を始めたきっかけを教えてください

2020年に入ってコロナウイルスの感染が拡大してきた頃、私は東京で2階建てのアパートに住んでいたのですが、下の階の住人の顔も名前も知りませんでした。
その時は、食べ物などの物資の買い占めが起こっており、生活に必要な物資が手に入りづらくなっていて、もしもこれからコロナウイルスのせいでロックダウンなどが起きて、海外からの輸入が途絶えると日本は食料自給率が100%に大きく足りていないので、同じ建物に住んでいる下の階の住人にも助けを求められない私は食料を手に入れる事ができなくなると危機感を感じました。
それからは人との縁の大切さを考えて、私が目指す生き方であるATK(安心で楽しい暮らし)に辿り着きました。
それを実現するためには、東京よりも「地域」の方が顔の見える関係性の中で、お互い食べ物やスキルなどをシェアしたりと支え合える関係性が築きやすいのでは?と考えた事と、元々「地域」で働きたいという思いはあったので、東京と長野県佐久市での2拠点生活を始めました。

おかさくさんが考え出したATKとは?

ATKは「安心で楽しい暮らし」の略です。

Aー(安心な暮らし)

1.お金に依存し過ぎない状態を作る事
・自分で自分の暮らし(衣食住)を作る力を磨く
・顔の見えるリアルな人と人とのつながりから、助け合い、支え合う関係性を構築(ゆるやかな地域コミュニティ)
2.健康で持続可能な暮らしである事

Tー(楽しい暮らし)

1.やりたい事をサポートしてくれる仲間がいる事
2.住んでいて心地よいと思える事
3.自分の意思で自分がやりたい仕事を選べる事
4.自由である事

ATKについて更に詳しく知りたい方はこちら

長野県佐久地域(東信)のローカルメディアとして活動中の現在

現在は長野県佐久地域(東信)のローカルメディアとして活動しています。
具体的には、長野県佐久地域(東信)の人に知って欲しい、届けたい情報がある方に私が取材をさせていただき、動画や記事を使って無償で発信をしています。

活動について詳しく知りたい方はこちら

ーーなぜローカルメディアとして活動しようと思ったのですか?

理由は大きく3つあります。
1.最も大きな理由は「私が地域に対して貢献できる事」を探っており、「ニーズがあるか検証したい」からです。
2.私は「誰かの助けになれる事」が大好きで、情報発信ならば少しはお役に立てると思ったためです。
3.ローカルメディアとして活動する事で私自身もっと「佐久(地域)の魅力を知り、たくさんの人と繋がっていきたい」からです。

ーーローカルメディアとして活動する中で最終目標はありますか?

具体的な最終目標はありませんが、私が感じている佐久地域の魅力がより多くの人になるべくありのまま伝われば良いなと思っています。

ーーローカルメディアの活動はなぜ無償でされているのでしょうか?

始めたばかりですし、お金をもらってしまうと自分の好きなように動けないため今は無償で活動しています。人の役に立てるようになれば結果としてお金は頂けるようになると思うので、まずは自分が役に立てると思った事にどんどんチャレンジしようと思っています。

ーーローカルメディアの活動で上手くいかない事はありますか?

2つありますね。
1つは、まだまだたくさんの人に見てもらうのは難しい事。
もう1つは、自分がいいと思って発信した情報が、情報を受けた人にとってもいい情報であるとは限らないという事です。

若者に向けて

ーーおかさくさんがやりたい事を見つけた瞬間はいつですか?

大学生の就活の時に自己分析をしている中で、自分が本当にやりたいのは「人の役に立ち喜んでもらう事」だという事に気付きました。

ーー人生の中での谷と山を教えてください

山は今ですね。
谷はあまりない気がします。私は環境に不満がある時は、それを避けるためにすぐに行動するようにしています。
前職の食品会社の退職も、2020年6月に東京と長野県佐久市での2拠点生活を始めたのもその中の一つです。

ーーおかさくさんのようにすぐに行動するコツを教えてください

思いついたらなるべく早く行動してみる事だと思います。
すごく良い事を思いついたと思っても2,3日経ってみると行動に移すモチベーションが湧かず行動できないという事が自分も多々ありました。なので、思いついたらすぐに行動するか、行動のスケジュールを立てると良いと思います。ただ、本当にやって大丈夫か?と不安に思う事もあると思うので、そういう時は一晩寝かせて翌朝冷静な頭でもう一度「本当に行動に移した方が良いか?」を考えてみる事はアリだと思います。
それでもやった方が良いと思える事ならばすぐに実行してみるべきです。

ーーこれから社会に出る若者にアドバイスはありますか?

社会に出る前に、自分の操縦方法を知っておいて欲しいと思います。
例えば、自分は朝型か夜型なのか?、どういう時にモチベーションが上がって、どんな時に下がるのか?、どんな事をしていると楽しかったり悲しかったりするのかなどです。
社会人になると自分の操縦方法と向き合うためにまとまった時間を取る事が難しくなるので、時間があるうちに、色々な事をしてみたり、本を読んだり、旅行に行ったりと様々な事を経験するといいと思います。

ーー「やりたい事がない」、「何をやったらいいのかわからない」と言う若者にはどんな言葉をかけますか?

読んだ事がある本の受け売りにはなってしまうのですが、まず3つの事を洗い出します。

好きな事

これは、ジャンルで大丈夫です。例えば、食やファッション、スポーツやアートなどです。

得意な事

これは自分が出来るスキルな技術の事ではなく、自分が無意識の内にしている行動で、それを積み重ねたらお金に繋がる事です。
私でいうと、
・人を応援する事
・移動する事
・一人で作業する事
・初対面の人と話す事
などです。反対に、
・ネットショップでモノを売る事
はスキルや技術としては持っているけれど、やりたくない作業なので「得意な事」ではありません。

大事な事

自分の大事にしている事を見つけます。
私でいうと、ATK(安心で楽しい暮らし)で、自分の大事にしている価値観の事です。

ーー最後にこの記事の読者に向けて送る言葉を教えてください。

「楽」ですね。とにかく若いみなさんには楽しんで欲しいと思っています。